畑を相続したけど農業しない場合は?売却・転用・太陽光発電など活用法を徹底解説

更新日 2025.11.25

畑を相続したら何をすべき?農業をしない人のための完全ガイド

畑を相続したものの、農業経験がなく「何から手をつければいいのか分からない」とお困りではありませんか?

畑の相続では、法務局での相続登記に加えて農業委員会への届出が必要で、10ヶ月以内という期限も設けられています。農業を継続しない場合でも、売却・転用・貸出など複数の選択肢があり、250坪以上の広い農地なら太陽光発電や蓄電所としての活用も検討できます。

この記事では、畑の相続手続きから相続税の計算方法、農業をしない人が取れる5つの選択肢、困ったときの相談先まで、実務経験に基づいた正確な情報を分かりやすく解説します。相続放棄や相続土地国庫帰属制度などの最新情報も網羅しているので、あなたの状況に合った最適な判断ができるようになります。


■この記事で分かること■
  • 畑を相続したら最初に確認すべき地目・所在地・税金の調べ方
  • 相続登記と農業委員会への届出の期限・必要書類・罰則
  • 農業をしない人が選べる5つの選択肢(売却・転用・貸出・太陽光・相続放棄)
  • 畑の相続税評価額の計算方法と納税猶予で税負担を軽減する条件
  • 農地転用の許可が下りない場合の対処法と無料相談できる専門家


土地のお悩みありませんか?ご相談はこちらのバナーをクリック


畑を相続したら最初に確認すべき4つのこと

相続した畑の地目・所在地・面積を把握する

畑を相続したら、まず土地の基本情報を正確に把握することが重要です。

土地の「地目」とは登記簿に記載された土地の用途のことで、「田」「畑」「山林」「雑種地」などに分類されます。地目が「田」または「畑」の場合、農地法による規制を受けるため、売却や転用には農業委員会の許可が必要です。固定資産税の納税通知書や登記簿謄本(登記事項証明書)で地目を確認できます。

所在地については、市街化区域か市街化調整区域かによって転用の難易度が大きく変わります。市街化区域内の農地は届出だけで転用できることが多い一方、市街化調整区域では原則として転用が認められません。所在地の確認は、市区町村役場の都市計画課や農業委員会で問い合わせることができます。

面積(地積)は固定資産税の納税通知書または登記簿謄本に記載されています。境界が不明確な場合は、将来的な売却や転用の際にトラブルになる可能性があるため、早めに測量を検討しましょう。

農業を継続するかしないかを家族で決める

相続した畑をどうするかは、相続人が農業を継続する意思があるかどうかで選択肢が大きく変わります。

農業を継続する場合、農地の納税猶予という相続税の特例を受けられる可能性があります。この制度を利用すると、農業投資価格(通常の宅地評価額の数百分の1程度)で計算した相続税額を超える部分について納税が猶予され、相続人が農業を続けながら亡くなった場合は免除されます。ただし、3年ごとに継続届出書の提出が必要で、途中で農業をやめると猶予された税額と利子税を納めなければなりません。

農業を継続しない場合でも、固定資産税の負担は発生し続けます。農地として使用していない土地は「耕作放棄地」として認定されると、通常の農地より1.8倍の固定資産税がかかる可能性があります。農業を行わない判断をするなら、売却・転用・貸出などの具体的な活用方法を早めに検討する必要があります。

相続人が複数いる場合は、誰が畑を相続するか、どのように活用するかを遺産分割協議で決めなければなりません。意見がまとまらないと相続登記ができず、後々のトラブルにつながるため、家族でしっかり話し合いましょう。

市街化区域か市街化調整区域かを確認する

相続した畑が市街化区域にあるか市街化調整区域にあるかは、今後の活用方法を決める上で非常に重要です。

市街化区域とは、都市計画法で「すでに市街地を形成している区域」または「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」として指定された地域です。この区域内の農地は、農業委員会への届出だけで宅地や駐車場などに転用できることが多く、住宅や店舗を建てることも比較的容易です。売却時にも買い手が見つかりやすい傾向があります。

市街化調整区域とは、「市街化を抑制すべき区域」として指定された地域で、原則として住宅や店舗の建築が制限されています。この区域内の農地を転用するには、都道府県知事または市町村長の許可が必要で、許可の基準も厳しく設定されています。農家住宅や分家住宅など一部の例外を除き、転用が認められないケースも多いため注意が必要です。

区域の確認方法は、市区町村役場の都市計画課に問い合わせるか、各自治体のホームページで都市計画図を閲覧することで分かります。転用を検討している場合は、事前に農業委員会に相談して実現可能性を確認しておきましょう。

相続税・固定資産税の負担額を試算する

畑を相続すると、相続税と固定資産税という2つの税負担が発生します。

相続税は、相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合に課税されます。畑の評価額は宅地より低めに設定されることが多いものの、面積が広いと評価額が高くなり相続税の負担が大きくなる可能性があります。農地の相続税評価額は、純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地・生産緑地の5つに区分され、それぞれ計算方法が異なります。

固定資産税は、畑を相続した後も毎年支払う必要があります。農地として利用している場合は農地課税が適用され、固定資産税評価額に0.55(限界収益率)を乗じた優遇措置を受けられます。しかし、農業を行わず耕作放棄地として認定されると、この優遇がなくなり宅地並み課税(通常の約1.8倍)となる可能性があります。

税負担の試算は、固定資産税の納税通知書に記載された評価額をもとに概算できます。相続税については、納税猶予の特例を適用できるかどうかで負担額が大きく変わるため、相続に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

畑の相続で必ず必要な2つの手続きと期限

法務局での相続登記(2024年4月から義務化)

畑を相続したら、まず法務局で相続登記(所有権移転登記)を行う必要があります。

相続登記とは、亡くなった被相続人から相続人へ不動産の名義を変更する手続きです。2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければなりません。正当な理由なく期限内に登記しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記に必要な主な書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)、畑を相続する相続人の住民票、畑の固定資産評価証明書などです。登記申請書は法務局のホームページからダウンロードできます。

登録免許税として、固定資産税評価額の0.4%を納める必要があります。評価額が1,000万円の畑なら登録免許税は4万円です。手続きが複雑な場合や時間がない場合は、司法書士に依頼することもできます(報酬は3万円~8万円程度)。

相続登記は農業委員会への届出の前提となる手続きなので、相続が発生したら早めに済ませましょう。

農業委員会への届出(10ヶ月以内、過料10万円以下)

相続登記が完了したら、農地の所在地を管轄する農業委員会に相続の届出をする必要があります。

この届出は農地法第3条の3第1項に基づくもので、相続によって農地の所有者が変わったことを農業委員会に報告する義務があります。届出期限は、相続の開始(被相続人が亡くなったこと)を知った日から「おおむね10ヶ月以内」とされています。期限を過ぎたり、虚偽の届出をしたりした場合は、10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。

届出に必要な書類は、農地法の規定による届出書(農業委員会で入手可能)と、相続登記後の登記事項証明書(登記簿謄本)です。登記事項証明書は法務局で1通600円で取得できます。届出書の様式は、農林水産省のホームページや各市町村の農業委員会のホームページからダウンロードできる場合もあります。

農業委員会への届出は無料で、手数料はかかりません。農業委員会は原則として各市町村に設置されていますが、農地面積が少ない地域では設置されていないこともあります。その場合は市区町村役場の農政課などが窓口となるため、事前に確認しておきましょう。

相続登記と農業委員会への届出は、どちらも法律で定められた義務なので、期限内に確実に行いましょう。

生産緑地の場合は変更届も必要

相続した畑が生産緑地に指定されている場合、生産緑地変更届という別の手続きが必要です。

生産緑地とは、市街化区域内にある農地のうち、良好な都市環境の形成を図るために計画的に保全する農地として指定されたものです。生産緑地として指定されると、30年間農業を継続することを条件に、固定資産税が大幅に優遇され、相続税の納税猶予の特例も受けやすくなります。

生産緑地の所有者が変わった場合は、管轄の市区町村役場(都市計画課など)に「生産緑地変更届」を提出する必要があります。提出期限は自治体によって異なる場合がありますが、できるだけ速やかに届け出ることが推奨されています。届出書は各自治体のホームページから無料でダウンロードできます。

生産緑地の指定を継続する場合は、引き続き農業を営むか、他の農家に貸し付けるか、市民農園として活用する方法があります。指定を解除したい場合は、指定から30年が経過した後に市町村に買い取りの申し出をすることができますが、実際に買い取られるケースは少なく、指定解除後は宅地並み課税となるため税負担が大幅に増えます。

生産緑地かどうかは、固定資産税の納税通知書や市区町村の都市計画課で確認できます。

農業をしない人が畑を相続する場合の5つの選択肢

選択肢1:農地のまま売却する(農家・農業法人限定)

農業を継続しない場合、相続した畑を農地のまま売却する方法があります。

農地を農地として売却するには、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。買主は農業従事者または農業法人に限定され、「農作業に常時従事すること(原則年150日以上)」「一定面積以上の農地を取得すること(北海道は2ha以上、それ以外は50a以上)」「周辺の農地に支障がないこと」などの要件を満たさなければなりません。

売却の手続きは、買主が見つかったら売買契約を締結し、農業委員会に許可申請書を提出します。農業委員会は申請内容を審査し、現地調査を行った上で、農業委員会総会で許可・不許可を決定します。許可が下りたら、法務局で所有権移転登記を行い、売買代金を受け取る流れです。

農地のまま売却する場合の注意点は、買い手が限られるため売却が難航する可能性があることです。特に農村部や条件の悪い農地では、買い手が全く見つからないケースもあります。市区町村の農業委員会や農政担当課に相談すると、買い手候補を紹介してもらえる場合があります。

売却価格は、宅地に比べると大幅に低くなることが一般的です。農地として売却できない場合は、次に説明する農地転用を検討しましょう。

選択肢2:農地転用して宅地・駐車場として活用

相続した畑を農地以外の用途に変更することを農地転用といい、宅地や駐車場、資材置き場などとして活用できます。

農地転用には、農地法第4条(自分で使う場合)または第5条(転用して売却する場合)に基づく許可が必要です。市街化区域内の農地であれば、農業委員会への届出だけで転用できることが多く、手続きは比較的簡単です。市街化調整区域や農業振興地域内の農地は、都道府県知事または市町村長の許可が必要で、審査基準も厳しくなります。

転用が認められる農地は、市街地農地(市街化区域内)、第2種農地(市街化区域に近接する農地)、第3種農地(都市的整備がされた区域内の農地)などです。甲種農地(市街化調整区域内の特に良好な農地)や第1種農地(土地改良事業が行われた農地)は、原則として転用が認められません。

転用許可を得ずに無断で転用した場合、農地法違反として3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下)が科される可能性があります。原状回復命令を受けることもあるため、必ず正規の手続きを踏みましょう。

転用が認められれば、住宅や店舗を建てて賃貸経営をしたり、駐車場や資材置き場として貸し出したりして収益を得ることができます。

選択肢3:他の農家や農地バンクに貸し出す

自分では農業をしないものの畑を手放したくない場合、他の農家や農地バンクに貸し出す方法があります。

農地を貸し出す場合も、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。借り手は農業従事者である必要があり、賃貸借契約の内容について農業委員会の審査を受けます。賃貸期間は任意で設定できますが、一度契約すると途中解約が難しいため、将来的に売却や転用を考えている場合は慎重に判断しましょう。

借り手を自分で探すのが難しい場合は、都道府県に設置されている「農地バンク(農地中間管理機構)」を利用する方法があります。農地バンクは、農地を貸したい人と借りたい人をマッチングする公的な仲介機関です。2025年4月以降、利用権設定による賃借は原則として廃止され、農地バンク経由での賃借が推奨されています。

農地バンクを利用するメリットは、借り手探しを代行してもらえることと、貸借期間中の草刈りや維持管理を借り手に任せられることです。デメリットは、賃料が相場より低めに設定されることが多い点と、賃貸期間が10年以上と長期になる点です。固定資産税は所有者負担のまま続きます。

貸し出すことで賃料収入を得られ、農地としての機能を維持できるため、将来的に農業を再開する可能性がある場合や、孫の代で活用したい場合に適した選択肢です。

選択肢4:太陽光発電・蓄電所として活用(250坪以上)

相続した畑が概ね250坪以上の場合、太陽光発電所や蓄電所として太陽光業者への売却や賃貸できる可能性があります。

太陽光発電は、日当たりが良い平地であれば活用できる可能性が高まります。農地を一時的に転用する「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」という制度もあり、太陽光パネルの下で農業を続けながら売電収入も得る事業です。蓄電所は、電力の需給調整のために大型の蓄電池を設置する施設で、接道条件や電力インフラの条件が良ければ活用できる場合があります。

太陽光発電所や蓄電所として活用する場合、農地転用の許可が必要です。白地であれば比較的スムーズに転用できますが、青地では許可が下りにくいケースもあります。営農型太陽光発電の場合は、一時転用許可を受けることで、農地のまま太陽光パネルを設置できます。

太陽光発電・蓄電所のメリットは、田舎の農地相場よりは高額な金額の提案を受けることができます。また、複雑な売却手続きも業者のサポートが充実しているので、忙しい方にもおすすめです。デメリットは、事業化要件が厳しく、買取条件に合致しないことも珍しくありません。また、入金まで1年以上は余裕をみて相談することをおすすめします。

当サイトでは、太陽光発電所や蓄電所用地としての活用ができるか無料で査定を行っています。お気軽にご相談ください。

土地の「売却・賃借」ダブル査定のご相談はこちらのバナーをクリック


土地無料ご相談はこちら 

選択肢5:相続放棄・相続土地国庫帰属制度を利用

畑を含む相続財産全体を引き継ぎたくない場合、相続放棄という選択肢があります。

相続放棄は、家庭裁判所に申述することで、最初から相続人ではなかったものとみなされる制度です。相続の開始を知った日から3ヶ月以内に申述する必要があり、期限を過ぎると原則として相続を承認したものとみなされます。相続放棄をすると、畑だけでなく預貯金や不動産などすべての財産を放棄することになるため、他に価値のある遺産がある場合は慎重に判断しましょう。

相続放棄の注意点は、一度申述が受理されると原則として撤回できないことと、次の順位の相続人に相続権が移ることです。相続人全員が放棄した場合、財産は最終的に国庫に帰属しますが、それまでの間は管理責任が残る場合があります。

2023年に開始された「相続土地国庫帰属制度」は、相続または遺贈で取得した土地の所有権を国に引き取ってもらえる制度です。相続放棄と違い、特定の土地だけを手放すことができるため、他の財産は相続したい場合に有効です。ただし、建物が建っている土地、担保権が設定されている土地、境界が不明確な土地などは対象外です。審査には時間がかかり、10年分の管理費相当額(数十万円程度)を納める必要があります。

相続放棄や国庫帰属を検討する場合は、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。

畑の相続税評価額の計算方法と納税猶予の特例

農地の種類別・相続税評価額の計算方法(5区分)

畑を相続した場合、相続税を計算するために農地の相続税評価額を算出する必要があります。

農地の相続税評価額は、国税庁が定める5つの区分によって計算方法が異なります。区分は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

農地の区分 特徴 計算方法
純農地 農業生産性が高く、宅地転用が見込めない農地 固定資産税評価額×倍率
中間農地 農業委員会の許可を得れば宅地転用が可能な農地 固定資産税評価額×倍率
市街地周辺農地 市街化傾向が強い地域にあり、宅地転用が原則として認められる農地 市街地農地とした場合の評価額×80%
市街地農地 市街化区域内にあり、届出だけで宅地転用できる農地 宅地比準方式または倍率方式
生産緑地 生産緑地地区に指定された市街化区域内の農地 生産緑地でない場合の評価額×(1−割合5~35%)

1. 純農地:農業生産性が高く、宅地転用が見込めない農地です。倍率方式で「固定資産税評価額×倍率」で計算します。倍率は路線価図・評価倍率表に記載されています。

2. 中間農地:農業委員会の許可を得れば宅地転用が可能な農地です。純農地と同じく倍率方式で計算します。

3. 市街地周辺農地:市街化傾向が強い地域にあり、宅地転用が原則として認められる農地です。「市街地農地とした場合の評価額×80%」で計算します。

4. 市街地農地:市街化区域内にあり、届出だけで宅地転用できる農地です。宅地比準方式「(宅地としての1㎡単価−造成費)×地積」または倍率方式で計算します。造成費は国税庁の「宅地造成費の金額表」で確認できます。

5. 生産緑地:生産緑地地区に指定された市街化区域内の農地です。「生産緑地でない場合の評価額×(1−割合)」で計算します。割合は、買取申出までの期間により5%~35%で設定されます。

正確な評価額の計算は専門的な知識が必要なため、相続税に詳しい税理士に依頼することをおすすめします。

農地の納税猶予で相続税を実質免除できる条件

農地を相続した場合、一定の条件を満たせば「農地の納税猶予の特例」を受けられます。

この特例は、農業を営んでいた被相続人から農地を相続した相続人が、引き続き農業を継続することを条件に、相続税の納税を猶予する制度です。猶予される税額は、通常の相続税評価額で計算した相続税額から、農業投資価格(宅地評価額の数百分の1程度)で計算した相続税額を差し引いた金額です。実質的に大部分の相続税が猶予されることになります。

要件の対象 主な条件
被相続人の要件 死亡日まで農業を営んでいた/生前に一括贈与をした/死亡日まで特定貸付を行っていた(いずれか)
相続人の要件 相続税の申告期限までに農業経営を開始し継続する/生前一括贈与を受けた/申告期限までに特定貸付を行った(いずれか)
農地の要件 申告期限までに遺産分割が終了/贈与税の特例が適用済み/相続の年に生前一括贈与された(いずれか)

被相続人の主な要件:死亡日まで農業を営んでいた、生前に一括贈与をした、死亡日まで特定貸付を行っていた、のいずれかに該当すること。

相続人の主な要件:相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も継続して農業を行う、生前一括贈与を受けた、相続税の申告期限までに特定貸付を行った、のいずれかに該当すること。

農地の主な要件:相続税の申告期限までに遺産分割が終了している、贈与税の特例が適用されている、相続の年に生前一括贈与された、のいずれかに該当すること。

納税猶予を受けた後は、3年ごとに「継続届出書」を税務署に提出する必要があります。農業をやめたり農地を譲渡したりすると猶予が打ち切られ、猶予された相続税と利子税を納めなければなりません。利子税率は年3.3%~6.6%です。将来的に転用や売却を考えている場合は、納税猶予を受けない方が良い場合もあります。

固定資産税の優遇措置(農地課税と宅地並み課税)

畑を相続すると、相続税だけでなく固定資産税も毎年支払う必要があります。

農地として利用している場合は「農地課税」が適用され、固定資産税評価額に対して優遇措置が適用されます。具体的には、売買価格×0.55(限界収益率)で計算された評価額に対して課税されるため、宅地に比べて大幅に税負担が軽減されます。

しかし、農業を行わず、耕作放棄地として認定されると、この優遇措置が適用されなくなります。耕作放棄地とは、「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする意思のない土地」のことで、5年に1度行われる「農林業センサス」で判断されます。耕作放棄地として認定されると、宅地並み課税(農地課税の約1.8倍)となり、税負担が大幅に増えます。

市街化区域内の農地(生産緑地を除く)は、原則として宅地並み課税が適用されます。生産緑地として指定されている場合は、30年間農業を継続することを条件に農地課税が適用され、大幅に税負担が軽減されます。

固定資産税の負担を抑えるには、農業を継続するか、他の農家に貸し出すか、早めに売却・転用を検討することが重要です。

畑の売却・転用が難しい場合の現実的な対処法

農地転用の許可が下りない市街化調整区域の対応

市街化調整区域内の畑は、原則として農地転用が認められないため、活用方法が限られます。

市街化調整区域は、都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」として指定されており、農地の保全が優先されます。住宅や店舗の建築は原則として禁止され、転用許可の審査基準も非常に厳しく設定されています。許可が認められるのは、農家住宅(農業従事者が自己居住用に建てる住宅)、分家住宅(親の土地を相続した子が建てる住宅)、公共施設など、限定的なケースのみです。

市街化調整区域の畑を活用する現実的な方法は、以下の3つです。

1. 農地のまま売却する:農業従事者または農業法人に限定されますが、買い手が見つかれば売却できます。ただし、価格は非常に安くなることが一般的です。

2. 他の農家に貸し出す:農地バンク(農地中間管理機構)を利用して、農業を営む人に貸し出す方法です。賃料収入は期待できませんが、草刈りなどの管理負担から解放されます。

3. 営農型太陽光発電を検討する:市街化調整区域でも、一時転用許可を受けて営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を設置できる場合があります。太陽光パネルの下で農業を継続しながら売電収入を得られるため、検討する価値があります。

市街化調整区域の畑で困った場合は、市区町村の農業委員会や農政課に相談しましょう。

買い手が見つからない農地を手放す3つの方法

農村部や条件の悪い畑は、買い手が全く見つからないケースも少なくありません。

買い手が見つからない農地を手放す方法として、以下の3つが考えられます。

1. 農地バンクに登録する:都道府県の農地中間管理機構(農地バンク)に登録すると、農業を営みたい人とマッチングしてもらえます。売却ではなく賃貸借契約になることが多いですが、管理負担から解放される点はメリットです。賃料は低めですが、固定資産税の負担を相殺できる程度の収入が期待できます。

2. 相続土地国庫帰属制度を利用する:2023年に開始された制度で、一定の条件を満たせば土地を国に引き取ってもらえます。建物が建っていない、境界が明確、担保権が設定されていないなどの要件があります。審査には半年~1年程度かかり、10年分の管理費相当額(農地の場合は数十万円程度)を納める必要がありますが、完全に手放せる点は大きなメリットです。

3. 隣地所有者や近隣農家に声をかける:隣接する農地の所有者や近隣の農家は、自分の農地と一体的に利用できるため、購入や借り受けに興味を持つ可能性があります。市区町村の農業委員会に相談すると、買い手候補を紹介してもらえることもあります。

どうしても手放せない場合は、最低限の管理(年数回の草刈りなど)を継続し、将来的な活用方法を模索し続けることになります。

複数の相続人で畑を分ける場合の遺産分割協議

相続人が複数いる場合、畑をどのように分けるかで意見がまとまらず、トラブルになることがあります。

畑を含む遺産を分割する方法は、主に以下の3つです。

1. 現物分割:畑を物理的に分筆して、各相続人が土地の一部ずつを取得する方法です。面積が広く、分筆しても各相続人が活用できる場合に適しています。ただし、分筆には測量費用(数十万円~)がかかり、小さく分割すると農地転用や売却が難しくなる可能性があります。

2. 代償分割:特定の相続人が畑を単独で相続し、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。畑を農業用として引き継ぎたい相続人がいる場合に適しています。代償金の算定には、畑の評価額を公平に算出する必要があるため、不動産鑑定士や税理士に相談することをおすすめします。

3. 換価分割:畑を売却して現金化し、売却代金を相続人で分ける方法です。誰も農業を継続しない場合や、公平に分けたい場合に適しています。ただし、農地の売却には時間がかかることが多いため、スケジュールに余裕を持って進める必要があります。

遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判を利用する方法もあります。相続に詳しい弁護士や司法書士に相談しましょう。

相続登記未対応・管理放棄のリスクと罰則

畑の相続登記をせずに放置したり、管理を怠ったりすると、さまざまなリスクが発生します。

相続登記未対応のリスク:2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。登記をしないまま放置すると、次の世代でさらに相続人が増え、権利関係が複雑になります。数世代後には相続人が数十人に及び、遺産分割協議がほぼ不可能になる「所有者不明土地」となるリスクがあります。

農業委員会への届出未対応のリスク:相続開始から10ヶ月以内に農業委員会への届出をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。届出をしないと、農地の現況を行政が把握できず、将来的に売却や転用をする際に手続きが煩雑になることがあります。

管理放棄のリスク:畑を放置すると、雑草が生い茂り、害虫が発生し、近隣住民や農家に迷惑をかけます。行政から管理指導を受ける可能性があり、従わない場合は強制的に草刈りが行われ、その費用を請求されることもあります。耕作放棄地として認定されると、固定資産税が約1.8倍に増額されます。

相続登記と農業委員会への届出は、相続が発生したら早めに済ませましょう。管理が難しい場合は、早期に売却・貸出・転用を検討することが重要です。

畑の相続で困ったときの相談先と無料サポート

手続き相談:市役所・農業委員会・司法書士

畑の相続手続きで分からないことがあれば、以下の窓口に相談できます。

市区町村役場:農政課や農業委員会事務局が、農地の相続に関する一般的な質問に対応してくれます。農地の地目・所在地・区域の確認、農地転用の可否、届出に必要な書類などを教えてもらえます。相談は無料です。

農業委員会:農地法に基づく許可申請や届出の窓口です。農地の売却・貸出・転用を検討している場合、事前に農業委員会に相談すると、許可が下りる可能性や必要な手続きを教えてもらえます。農業委員会は原則として各市町村に設置されていますが、設置されていない自治体もあるため、市区町村役場に確認しましょう。

司法書士:相続登記の専門家です。畑の相続登記を自分で行うのが難しい場合、司法書士に依頼すると、必要書類の収集から登記申請までを代行してもらえます。報酬は3万円~8万円程度が相場です。相続人が複数いる場合の遺産分割協議書の作成も依頼できます。初回相談は無料の事務所も多いので、まずは相談してみましょう。

手続きの期限(相続登記は3年以内、農業委員会への届出は10ヶ月以内)を守るためにも、早めに相談することが重要です。

税金相談:税理士・税務署(納税猶予適用判断)

畑の相続税や固定資産税について不安がある場合、税理士に相談することをおすすめします。

税理士:相続税の専門家です。畑の相続税評価額の計算、納税猶予の特例が適用できるかの判断、相続税申告書の作成・提出を依頼できます。農地の評価は5つの区分によって計算方法が異なり、専門的な知識が必要です。税理士に依頼すると、正確な評価額を算出してもらえるため、税務署からの指摘を受けるリスクを減らせます。報酬は遺産総額によって異なりますが、数十万円程度が相場です。初回相談は無料の税理士事務所も多いので、まずは相談してみましょう。

税務署:相続税の申告先です。納税猶予の特例を受ける場合、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)までに申告書と必要書類を提出する必要があります。税務署でも一般的な質問には対応してくれますが、個別の評価額計算や節税対策については税理士に相談する方が確実です。

納税猶予の特例は、適用要件が複雑で、途中で農業をやめると猶予が打ち切られるリスクもあります。将来的な畑の活用方法も含めて、税理士に相談して判断することをおすすめします。

売却・活用相談:不動産会社・農地活用プラットフォーム

畑の売却や賃貸を検討している場合、不動産会社や農地買取に強い太陽光業者するのが効果的です。

不動産会社:農地の売買実績がある不動産会社に相談すると、買い手の紹介や売却手続きのサポートを受けられます。農地転用が可能な場合、宅地として売却する方法や、転用後の活用方法(賃貸住宅、駐車場など)の収支シミュレーションを提示してもらえることもあります。農地の取り扱いに慣れていない不動産会社もあるため、農地の売買実績が豊富な会社を選びましょう。

太陽光業者:太陽光発電所や蓄電所としての活用を目的に、農地の売却・賃貸を提案してくれます。特に250坪以上の平地の場合や、道路に面している、電柱が近くにあるなどの特徴がある場合、太陽光発電所や蓄電所としての活用を検討する価値があります。農地転用の許可申請、水利組合や土地改良区の脱退手続き、測量、相続登記など、煩雑な手続きを無料で代行してくれるサービスもあります。

土地無料ご相談はこちら 

売却や活用を検討する際は、複数の業者に相談して見積もりを比較することが重要です。「しつこい営業はしない」「査定だけでもOK」という業者を選ぶと、気軽に相談できます。上場企業など信頼できる業者を選び、契約内容をしっかり確認してから判断しましょう。

250坪以上の農地は無料査定・無料代行サービス活用も

相続した畑が概ね250坪以上の場合、当社の無料サポートを活用する選択肢があります。

広くて日当たりの良い農地は太陽光発電所として活用できる可能性があります。大きな道路に面している農地は蓄電所として活用できる可能性があります。当社に相談すると、以下のようなサービスを無料で提供しています。

無料査定:畑の場所・面積・周辺環境などをもとに、買取価格または賃料の査定を無料で行います。

無料代行サービス:農地転用許可申請(10万円前後相当)、水利組合・土地改良区の脱退手続き(40万円程度かかることも)、相続登記、測量、所有権移転にかかる司法書士手数料など、通常は自己負担となる手続きを無料で代行いたします。ただし、これらのサービスは当社での契約が前提となります。

土地の「売却・賃借」ダブル査定のご相談はこちらのバナーをクリック


土地無料ご相談はこちら 


まとめ:畑を相続したら早めの行動と専門家への相談が重要

畑を相続した場合、まず地目・所在地・面積を把握し、市街化区域か市街化調整区域かを確認することが重要です。法務局での相続登記(3年以内)と農業委員会への届出(10ヶ月以内)は法律で義務付けられており、期限を守らないと過料が科される可能性があります。

農業を継続しない場合でも、農地のまま売却、農地転用して宅地や駐車場として活用、他の農家や農地バンクに貸し出す、太陽光発電・蓄電所として活用(250坪以上)、相続放棄や相続土地国庫帰属制度を利用するなど、5つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を慎重に検討しましょう。

畑の相続税評価額は、純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地・生産緑地の5つに区分され、それぞれ計算方法が異なります。農業を継続する場合は、納税猶予の特例を受けられる可能性があり、実質的に大部分の相続税が猶予されます。ただし、3年ごとに継続届出書の提出が必要で、途中で農業をやめると猶予が打ち切られるため注意が必要です。

青地の畑は原則として転用が認められないため、農地のまま売却、他の農家に貸し出す、営農型太陽光発電を検討するなどの対応が現実的です。買い手が見つからない農地は、農地バンクへの登録、相続土地国庫帰属制度の利用、隣地所有者や近隣農家への声かけなどの方法で手放すことができます。

畑の相続で困ったときは、手続きについては市役所・農業委員会・司法書士、税金については税理士・税務署、売却・活用については不動産会社・太陽光業者に相談できます。特に250坪以上の広い農地を持っている場合は、無料査定や無料代行サービスを提供している当社のサービスもご検討ください。

畑の相続は、手続きの期限が短く、農地法による規制も厳しいため、放置すると所有者不明土地化や耕作放棄地として固定資産税が増額されるリスクがあります。相続が発生したら早めに専門家に相談し、自分に合った最適な方法を選択することが重要です。

土地の「売却・賃借」ダブル査定のご相談はこちらのバナーをクリック

土地無料ご相談はこちら 


お電話でのご相談はこちら 📞 0120-856-291

受付時間 9:00~18:00
※受付担当からの折返し電話番号は050-1871-0709となります。


お困りの土地のご相談はこちらをクリック 太陽光発電所の無料査定はこちらをクリック


太陽光発電設備と農地の売却を成功させる秘訣・市場価値の評価・税金対策のポイントを詳しく解説します。

東証上場
株式会社グリーンエナジー・アンド・カンパニー 株式会社グリーンエナジー・アンド・カンパニーの企業ロゴ 株式会社グリーンエナジー・アンド・カンパニー 株式会社グリーンエナジー・アンド・カンパニーの企業ロゴ グリーンエナジー・プラス グリーンエナジー・ライフ グリーンエナジー・ファシリティーズ Agliculture