農地を相続したらすべき手続きとは?登記・届出の期限と過料10万円を回避する方法

更新日 2025.11.25

農地相続の手続きは「3つの期限」を守れば確実に完了できます

農地を相続したとき、通常の不動産相続とは異なる2つの手続き(法務局での相続登記と農業委員会への届出)が必要です。それぞれに厳格な期限が設定されており、相続登記は3年以内、農業委員会への届出は10ヶ月以内、相続放棄を検討する場合は3ヶ月以内と、タイミングを逃すと10万円以下の過料が科される可能性があります。

本記事では、2025年最新の法改正に対応した手続き方法、必要書類と費用の詳細、農業を継続する場合の納税猶予制度、農業をしない場合の5つの選択肢まで、実務に即した情報を網羅的に解説します。期限管理と手続きの全体像を把握することで、安心して農地相続を進められるようになります。


■この記事で分かること■
  • 農地相続で必須となる2つの手続きと各期限(3年・10ヶ月・3ヶ月)
  • 相続登記に必要な書類一覧と登録免許税の計算方法
  • 農業委員会への届出書の書き方と提出タイミング
  • 農業継続時の相続税納税猶予制度と最大免除の条件
  • 農業をしない場合の5つの選択肢(売却・転用・貸出・国庫帰属・放棄)


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農地相続で必ず行う2つの手続きと期限【2025年最新版】

手続き①:法務局での相続登記(期限:3年以内)

農地を相続した場合、農地の所在地を管轄する法務局で相続登記(名義変更)を行う必要があります。2024年4月から相続登記が義務化され、農地の所有権取得を知った日から3年以内に登記しなければ、正当な理由がない限り10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などの書類を用意し、登記申請書とともに法務局へ提出します。登録免許税として「固定資産税評価額×0.4%」の費用が必要です。

遺産分割協議により農地を取得した場合は、遺産分割協議成立日から3年以内が期限となります。相続登記を怠ると、農地の売却ができなくなる、将来的な相続トラブルに発展する、共同相続人の債権者による差し押さえリスクが生じるなど、深刻な問題につながるため、早期の手続きが不可欠です。

手続き②:農業委員会への届出(期限:10ヶ月以内)

相続登記完了後は、農地の所在地を管轄する農業委員会へ届出を行います。届出期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内で、この期限を過ぎたり虚偽の届出をした場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。

農業委員会は原則として各市町村に1つ設置されていますが、農地面積によっては存在しない地域や複数ある地域もあるため、不明な場合は市町村役場に問い合わせて確認しましょう。届出に必要な書類は、農業委員会で入手できる「農地法の規定による届出書」と、相続登記後に法務局で取得する「登記事項証明書」の2点のみです。

農地の売買では農業委員会の許可が必要ですが、相続は被相続人の死亡により当然に発生する効力であるため許可は不要で、届出のみで完了します。ただし、法定相続人以外が遺贈により農地を取得する場合は、届出ではなく農業委員会の許可が必要になる点に注意が必要です。

【重要】期限を過ぎた場合の罰則と対処法

農地相続の各手続きには厳格な期限が設定されており、期限超過にはそれぞれ異なる罰則が科されます。相続登記を3年以内に完了しない場合、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象となります。農業委員会への届出を10ヶ月以内に行わない場合や虚偽の届出をした場合も、同様に10万円以下の過料が科される可能性があります。

正当な理由として認められるケースには、相続人が極めて多数で戸籍収集に時間を要する場合、遺言書の有効性や遺産範囲について争いがある場合、相続人自身が重病で手続きが困難な場合などがあります。これらに該当する場合は、法務局に相談することで期限延長が認められる可能性があります。

既に期限を過ぎてしまった場合でも、速やかに手続きを完了させることで過料を回避できるケースもあります。特に2024年4月の法改正以前から相続登記が未了の農地については、2027年3月31日までに登記すれば義務違反とはみなされない経過措置が設けられています。期限が迫っている、または既に過ぎている場合は、司法書士などの専門家に早急に相談することをおすすめします。

農地相続登記の必要書類と費用を完全解説

相続登記に必要な書類一覧と取得場所

必要書類 取得費用 取得場所
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本 1通450〜750円 本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票の除票または戸籍附票 1通300円 本籍地の市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本 1通450円 各相続人の本籍地の市区町村役場
相続人全員の印鑑証明書 1通300円 各相続人の住所地の市区町村役場
農地を相続する相続人の住民票 1通300円 相続人の住所地の市区町村役場
農地の固定資産評価証明書 1通300円程度 農地所在地の市区町村役場
登記申請書 無料(自作)/3〜8万円(司法書士依頼) 法務局ウェブサイトまたは司法書士
遺産分割協議書または遺言書 無料(自作)/3〜5万円(司法書士依頼) 自作または司法書士

農地の相続登記には、被相続人と相続人に関する複数の公的書類が必要です。被相続人に関しては、出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本(1通450〜750円)、住民票の除票または戸籍附票(1通300円)を本籍地の市区町村役場で取得します。遺言書がある場合は、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本のみで足ります。

相続人に関しては、相続人全員の戸籍謄本(1通450円)、印鑑証明書(1通300円)、農地を相続する相続人の住民票(1通300円)が必要です。遺言書による相続の場合、相続人全員ではなく実際に相続する人の書類のみで手続き可能です。

農地に関する書類として、農地の固定資産評価証明書(1通300円程度)を農地所在地の市区町村役場で取得します。遺産分割協議により相続する場合は遺産分割協議書、遺言による場合は遺言書が必要です。登記申請書は法務局のウェブサイトからダウンロードできます。戸籍謄本の収集には郵送請求も可能ですが、出生から死亡までの連続性確認が必要なため、司法書士に依頼すると効率的に進められます。

登録免許税の計算方法と費用シミュレーション

農地の相続登記には登録免許税がかかります。計算式は「固定資産税評価額×0.4%」で、評価額1,000万円の農地なら4万円、2,000万円なら8万円となります。固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税納税通知書、または市区町村役場で取得できる固定資産評価証明書で確認できます。

農地の固定資産税評価額は、宅地と比較して低く設定されているのが一般的です。純農地や中間農地の場合、倍率方式により「固定資産税評価額×国税局長が定める倍率」で評価されます。市街地周辺農地や市街地農地の場合は、宅地比準方式または倍率方式で評価され、市街地農地では評価額が相対的に高くなる傾向があります。

具体的なシミュレーション例として、固定資産税評価額500万円の純農地では登録免許税2万円、1,500万円の市街地周辺農地では6万円程度となります。複数の農地を相続する場合は、各農地の評価額を合算して計算します。登録免許税は登記申請時に収入印紙または現金で納付し、後から還付を受けることはできないため、事前に正確な評価額を確認しておくことが重要です。

遺産分割協議書と遺言書による違い

遺産分割協議により農地を相続する場合、相続人全員で協議を行い、合意内容を遺産分割協議書にまとめる必要があります。遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印による押印が必要で、印鑑証明書を添付して法務局に提出します。協議が成立した日から3年以内に相続登記を完了させる必要があります。

遺言書による相続の場合、遺言書の内容に従って登記手続きを進めます。遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要です。公正証書遺言の場合は検認不要で、速やかに登記手続きに進めます。

遺言書で「相続人に相続させる」と記載されている場合は農業委員会の許可不要ですが、「相続人以外に遺贈する」場合は農業委員会の許可が必要となり、許可取得後でなければ相続登記ができません。遺産分割協議と遺言書が矛盾する場合、相続人全員の合意があれば遺言書と異なる内容で遺産分割することも可能ですが、その場合は遺産分割協議書を作成して登記します。

司法書士に依頼した場合の費用相場

農地の相続登記は自分で行うことも可能ですが、戸籍収集や登記申請書作成には専門知識が必要なため、司法書士に依頼するケースが一般的です。司法書士報酬の相場は、登記申請書作成で3万〜8万円程度、遺産分割協議書作成で3万〜5万円程度となっています。

報酬額は農地の筆数(土地の個数)、相続人の人数、戸籍収集の難易度により変動します。被相続人が何度も転籍している場合、出生からの連続した戸籍収集に時間を要するため、報酬が高くなる傾向があります。複数の農地を相続する場合、2筆目以降は割引料金を設定している事務所もあります。

司法書士に依頼するメリットは、手続きの確実性と時間の節約です。特に遺産分割協議が難航している場合、相続人が多数いる場合、農地が複数の市町村にまたがる場合などは、専門家のサポートが不可欠です。費用面が気になる場合は、複数の司法書士事務所に見積もりを依頼し、報酬内容とサービス範囲を比較検討することをおすすめします。初回相談を無料で実施している事務所も多く、まずは相談だけでも利用価値があります。

農業委員会への届出手続きを5ステップで解説

管轄する農業委員会の確認方法

農業委員会は原則として各市町村に1つ設置されていますが、農地面積が少ない地域では設置されていない場合もあります。設置されていない場合は、市町村の農政担当課が農地に関する事務を担当しています。相続した農地を管轄する農業委員会が不明な場合は、農地所在地の市区町村役場に電話で問い合わせるのが最も確実です。

多くの自治体では、公式ウェブサイトに農業委員会の所在地、電話番号、受付時間が掲載されています。「○○市 農業委員会」で検索すれば、連絡先や必要書類の情報を確認できます。農林水産省のウェブサイトでも、全国の農業委員会の情報が検索可能です。

複数の市町村にまたがる農地を相続した場合、それぞれの市町村の農業委員会に個別に届出が必要です。届出書の様式は自治体によって若干異なる場合があるため、各農業委員会で最新の様式を入手するか、ウェブサイトからダウンロードします。事前に電話で必要書類や受付時間を確認しておくと、スムーズに手続きを進められます。

届出書の書き方と記載例

農業委員会への届出には「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を使用します。届出書は農業委員会の窓口で入手するか、農林水産省または各自治体のウェブサイトからダウンロードできます。記載事項は主に6項目で、正確に記入する必要があります。

記載項目 記載内容
①権利を取得した者の氏名・住所 相続人の情報を記載
②届出に係る土地の所在等 所在・地番、地目(登記簿・現況)、面積、賃借権等がある場合はその内容
③権利を取得した日 通常は被相続人の死亡日
④権利を取得した事由 相続、遺産分割、遺贈など
⑤取得した権利の種類及び内容 所有権、賃借権など
⑥農業委員会によるあっせん等の希望の有無 希望有/希望無を選択

⑥のあっせん希望について、「希望有」とすると、農業委員会が農地を借りて耕作したい農家をあっせんしてくれます。自分で農業を行う予定がなく、貸し出しを検討している場合は「希望有」にチェックを入れると良いでしょう。届出書の記入例は農業委員会の窓口で確認できるほか、自治体によってはウェブサイトに記入例を掲載している場合もあります。

届出に必要な添付書類と提出タイミング

農業委員会への届出に必要な添付書類は、相続登記完了後の登記事項証明書(登記簿謄本)です。登記事項証明書は法務局の窓口または郵送で取得でき、手数料は1通480〜600円です。オンライン請求では1通480円で取得可能で、自宅に郵送してもらうこともできます。

届出のタイミングは、相続登記完了後、かつ相続開始を知った日から10ヶ月以内です。相続登記と農業委員会への届出を同日に行うことも可能で、法務局で相続登記申請時に登記完了証を受け取り、その足で農業委員会に届出すれば、効率的に手続きを完了できます。

遺産分割協議が長引き10ヶ月の期限が迫っている場合は、いったん相続人全員の名義で届出を行い、後日遺産分割が成立した時点で再度届出する方法もあります。届出を怠ったり虚偽の届出をすると10万円以下の過料が科される可能性があるため、期限には十分注意が必要です。提出は農業委員会の窓口に持参するか、郵送でも受け付けている自治体もあります。

農業を続ける場合の相続税納税猶予制度【最大免除】

納税猶予制度の適用条件(被相続人・相続人・農地)

農地の相続税納税猶予制度を適用するには、被相続人・相続人・農地それぞれに定められた要件を満たす必要があります。被相続人の要件は、①死亡日まで農業を営んでいた、②生前に農地を一括贈与した、③死亡日まで特定貸付または認定都市農地貸付等をしていた、のいずれかに該当することです。

区分 要件
被相続人の要件 ①死亡日まで農業を営んでいた
②生前に農地を一括贈与した
③死亡日まで特定貸付または認定都市農地貸付等をしていた
相続人の要件 ①相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに農業経営を開始し引き続き農業経営を行う
②生前一括贈与で贈与税の納税猶予を受けていた
③相続税の申告期限までに特定貸付または認定都市農地貸付等を行った
農地の要件 ①相続により取得し遺産分割が完了している
②贈与税納税猶予の対象だった
③相続の年に生前一括贈与を受けた

相続人の要件は、①相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)までに農業経営を開始し引き続き農業経営を行う、②生前一括贈与で贈与税の納税猶予を受けていた、③相続税の申告期限までに特定貸付または認定都市農地貸付等を行った、のいずれかです。重要なのは、相続人自身が実際に農業を継続するか、農地バンク等を通じて貸し付けることが条件となる点です。

農地の要件は、被相続人が営農または特定貸付等を行っていた農地で、①相続により取得し遺産分割が完了している、②贈与税納税猶予の対象だった、③相続の年に生前一括贈与を受けた、のいずれかです。相続税の申告期限までに遺産分割が完了していない農地は、納税猶予の対象外となるため、早期の遺産分割協議が重要です。

猶予される税額の計算方法と農業投資価格

納税猶予制度では、農地を「農業投資価格」で評価した場合の相続税額と、通常の相続税評価額で計算した相続税額の差額が猶予されます。農業投資価格は、農地が農業経営により生み出す収益を基準に算定されるため、通常の相続税評価額の数百分の1程度と極めて低くなります。

計算例として、相続税評価額2,000万円の農地の場合、通常であれば相続税の計算に2,000万円が算入されますが、農業投資価格が30万円と評価されれば、30万円を基準に相続税を計算し、差額分(1,970万円相当分の税額)が猶予されます。相続財産全体が基礎控除額を超える場合でも、農地部分の税負担が大幅に軽減されます。

農業投資価格は、農地の所在地や農地区分(純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地)によって異なり、国税局長が定める価額が適用されます。具体的な農業投資価格は、税務署または税理士に確認することで把握できます。猶予税額は相続人が死亡するか、一定の要件を満たして農業経営を終了した場合に免除されます。

3年ごとの継続届出と猶予打ち切りリスク

納税猶予制度の適用を受けた後は、3年ごとに「継続届出書」を税務署に提出する義務があります。継続届出書には、農地で引き続き農業を営んでいること、または特定貸付等を継続していることを証明する書類を添付します。この届出を怠ると、納税猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税の全額と利子税を納付しなければなりません。

猶予が打ち切られるケースは、①納税猶予対象農地を売却・贈与した、②農地を宅地等に転用した、③農業経営をやめた、④継続届出書を提出しなかった、⑤特定貸付等を解除した、などです。ただし、農地の一部を譲渡した場合は、譲渡した部分のみ猶予が打ち切られ、残りの農地は猶予が継続されます。

納税猶予が免除されるのは、①納税猶予を受けた相続人が死亡した、②相続人が後継者に生前一括贈与した、③20年以上農業を継続した後に営農困難となり特定貸付を行った、などのケースです。納税猶予制度は大きな節税効果がある一方、長期的な農業継続が前提となるため、将来的に農地転用や売却を検討している場合は、制度を利用しない方が賢明な選択となる場合もあります。

納税猶予と相続放棄、どちらを選ぶべきか

農地相続において、納税猶予制度の利用と相続放棄は、それぞれ全く異なる選択肢です。納税猶予を選択する場合、農業を継続する意思と能力があることが前提で、相続税負担を大幅に軽減しながら農地を保有できます。農業経営で安定収入が見込める、地域や家族との関係で農業を継承したい、農地に愛着がある場合に適しています。

相続放棄を選択する場合、農地だけでなく全ての相続財産を放棄することになります。農地の管理負担や固定資産税が重く、他に相続したい財産もない、または相続財産全体が負債超過の場合に有効な選択肢です。相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、期限が極めて短い点に注意が必要です。

判断基準として、農地の固定資産税評価額、農業収入の見込み、管理にかかる時間と費用、他の相続財産の価値、相続税の総額などを総合的に検討します。農業を継続する意思がある場合は納税猶予の利用を、農業継続が困難で農地以外の財産も少ない場合は相続放棄を検討すべきです。判断が難しい場合は、税理士や司法書士など複数の専門家に相談し、長期的な視点で最適な選択を行うことが重要です。

農業をしない人が取るべき5つの選択肢と注意点

選択肢①:農地のまま売却する(許可と買い手探し)

農地を農地のまま売却する場合、原則として農業委員会の許可(農地法第3条許可)が必要です。買主は農業従事者または農業生産法人に限定され、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、農地のすべてを効率的に利用すること、農作業に常時従事すること(原則年150日以上)、一定面積以上の農地を利用すること(北海道は2ヘクタール、その他は50アール以上)、周辺農地に支障がないこと、などの条件があります。

買い手を自力で見つけるのは困難なため、農業委員会や農地中間管理機構(農地バンク)、JA(農業協同組合)に相談すると、買い手候補を紹介してもらえる場合があります。農地バンクは各都道府県に設置されており、農地を売りたい人と買いたい人をマッチングする公的機関です。

農地転用ができない農地の場合、宅地と比較して売却価格が大幅に低くなる傾向があります。地域によっては買い手が全く見つからないケースもあるため、売却の見込みについては事前に農業委員会や不動産会社に相談し、現実的な判断を行うことが重要です。

選択肢②:宅地等に転用して活用・売却する

農地を宅地や駐車場、資材置き場などに転用すれば、農地法の制約を受けずに売却や活用が可能になります。転用には原則として農業委員会への許可申請が必要ですが、市街化区域内の農地であれば届出のみで転用できます。転用可能な農地は限られており、市街化区域の第2種農地や第3種農地が対象となります。

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農地区分 転用可否 備考
甲種農地 原則不可 市街化調整区域内の特に良好な営農条件を備えた農地
第1種農地 原則不可 10ヘクタール以上の農地の区域内にある農地等
第2種農地 条件付きで可 市街化が見込まれる区域内の農地
第3種農地 許可されやすい 市街化区域内または市街地にある農地

甲種農地(市街化調整区域内の特に良好な営農条件を備えた農地)や第1種農地(10ヘクタール以上の農地の区域内にある農地等)は、原則として転用許可が下りません。市街化調整区域内の農地も転用が困難で、許可が下りたとしても開発許可が別途必要となる場合があります。

転用許可申請には、転用目的の具体性、転用の確実性、周辺農地への影響などが審査されます。審査には数ヶ月を要することもあり、申請しても不許可となるリスクがあります。転用後の活用方法としては、駐車場経営、賃貸住宅建設、太陽光発電設備設置などが考えられますが、いずれも初期投資と需要の見極めが必要です。転用可能性については、農業委員会や行政書士に事前相談することをおすすめします。

選択肢③:農地バンクで貸し出す

農地を手放したくないが管理負担は減らしたい場合、農地中間管理機構(農地バンク)を通じて貸し出す方法があります。農地バンクは全都道府県に設置されており、農地を貸したい地主と借りたい農業者をマッチングする公的機関です。賃貸借期間は原則10年以上で、契約期間中の賃料収入を得ながら、草刈りなどの管理を借り手に任せることができます。

農地バンクを利用するメリットは、直接交渉が不要な点です。地主と借り手の間に農地バンクが入るため、賃料や契約条件の交渉、トラブル対応などを任せられます。ただし、賃料は地域の相場に基づき設定されるため、期待よりも低い場合があります。農地の立地や条件によっては借り手が見つからないリスクもあります。

農地バンクへの登録手続きは、各都道府県の農地バンクまたは市町村の農政担当課で行います。登録には農地の所在、面積、現況などの情報提供が必要です。固定資産税は地主負担のまま継続されるため、賃料収入と固定資産税のバランスを事前に確認しておくことが重要です。「都道府県名 + 農地バンク」で検索すれば、各地域の農地バンクの連絡先や手続き方法を確認できます。

選択肢④:相続土地国庫帰属制度で国に返還

2023年4月から施行された相続土地国庫帰属制度により、相続または遺贈で取得した土地を国に引き渡すことが可能になりました。農地を相続したものの活用予定がなく、売却も困難な場合に有効な選択肢です。制度を利用するには、土地が一定の要件を満たしている必要があります。

承認されない土地の要件として、建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、他人の利用が予定されている土地、土壌汚染がある土地、境界が明らかでない土地または所有権の存否や範囲について争いがある土地などが挙げられます。農地の場合、これらに該当しないことを証明する必要があります。

制度利用には審査手数料(土地1筆あたり14,000円)と、承認後に10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付する必要があります。農地の負担金は地目や面積により異なり、数十万円から数百万円になる場合もあります。申請には相続登記が完了していることが前提で、法務局に申請書類を提出し、審査には数ヶ月を要します。相続土地国庫帰属制度の詳細は、法務局または司法書士に相談することをおすすめします。

選択肢⑤:相続放棄する(期限:3ヶ月以内)

農地を含む全ての相続財産を放棄する方法が相続放棄です。相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に、被相続人が最後に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に申述する必要があります。申述が受理されれば、初めから相続人でなかったものとみなされ、農地の相続義務や負債を負うことがなくなります。

相続放棄の注意点は、農地だけを放棄することはできず、預貯金や不動産などプラスの財産も全て放棄することになる点です。相続財産全体を把握せずに放棄すると、後悔する可能性があります。相続放棄後の撤回は原則として認められないため、慎重な判断が必要です。

相続放棄の申述には、相続放棄申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、被相続人の死亡記載のある戸籍謄本、相続放棄する本人の戸籍謄本などが必要で、収入印紙800円と郵便切手代がかかります。相続人全員が放棄した場合、相続財産管理人を選任する必要が生じ、その費用負担も発生します。相続放棄を検討する場合は、司法書士や弁護士に早めに相談し、相続財産全体の調査と適切な判断を行うことが重要です。

農地相続でよくある3つのトラブルと解決策

トラブル①:遺産分割協議がまとまらない

農地相続における最も一般的なトラブルが、遺産分割協議の難航です。農地は固定資産税評価額が宅地より低いため、農地を相続する相続人が他の財産も受け取らないと相続額が不平等になるケースがあります。農地を相続したい相続人と相続したくない相続人の意見が対立し、協議が進まない事例も多く見られます。

農地が遠方にあり管理が困難な場合、誰も相続を希望せず、相続登記や農業委員会への届出の期限が迫ってしまう問題も発生します。特に農業を営んでいた被相続人の配偶者が高齢で、相続人である子供たちが都市部に居住している場合、農地の処遇を巡って長期化する傾向があります。

解決策として、期限が迫っている場合はいったん法定相続分で相続登記を行い、その後時間をかけて遺産分割協議を進める方法があります。専門家として司法書士や弁護士、場合によっては家庭裁判所の調停を利用することで、客観的な視点から解決策を見出せる可能性があります。被相続人が生前に遺言書を作成し、農地の承継者を明確にしておくことが、トラブル予防の最善策です。

トラブル②:買い手が見つからず売却できない

農地を相続したものの農業を継続する意思がなく、売却を試みても買い手が見つからないトラブルが増えています。農地の売却には農業委員会の許可が必要で、買主は農業従事者に限定されるため、一般の不動産市場と比較して流動性が極めて低くなっています。特に中山間地域や過疎地域の農地は、需要がほとんどない状況です。

宅地への転用を試みても、市街化調整区域の農地や甲種農地・第1種農地では転用許可が下りず、活用方法が見つからない事例も多く見られます。不動産会社に売却を依頼しても、農地は取り扱わないと断られるケースもあります。

解決策として、農業委員会や農地バンク、JAに買い手候補の紹介を依頼する方法があります。農地を複数所有している場合、隣接する農地所有者に売却を打診すると、経営規模拡大を目指している農家が購入する可能性があります。売却が困難な場合は、農地バンクを通じた賃貸借、相続土地国庫帰属制度の利用、または農地活用専門のプラットフォーム(太陽光発電事業者など)への相談も選択肢となります。無理に早期売却を目指すより、長期的な視点で最適な活用方法を検討することが重要です。

トラブル③:複雑な手続きで期限に間に合わない

農地相続の手続きは、通常の不動産相続と異なり農業委員会への届出が加わるため、手続きの複雑さから期限超過のリスクが高まります。相続登記は3年以内、農業委員会への届出は10ヶ月以内、相続放棄は3ヶ月以内と、それぞれ異なる期限が設定されており、全体のスケジュール管理が困難です。

戸籍謄本の収集で被相続人が複数回転籍している場合、出生から死亡までの連続した戸籍を揃えるだけで数ヶ月を要することがあります。遺産分割協議が長引き、相続登記ができないまま農業委員会への届出期限が迫るケースも見られます。農地が複数の市町村にまたがる場合、それぞれの法務局と農業委員会で手続きが必要となり、さらに複雑化します。

解決策として、相続発生直後から計画的に手続きを進めることが不可欠です。戸籍収集や登記申請書作成は司法書士に依頼することで、時間と手間を大幅に削減できます。遺産分割協議が難航している場合でも、いったん法定相続分で相続登記を行い、農業委員会への届出を期限内に完了させることが重要です。期限が迫っている、または既に過ぎている場合は、速やかに司法書士や弁護士に相談し、適切な対応策を講じることをおすすめします。

農地相続の手続きは専門家と進めるのが最善策

農地相続では、法務局での相続登記(3年以内)と農業委員会への届出(10ヶ月以内)という2つの手続きが必須です。それぞれに厳格な期限が設定されており、期限超過には10万円以下の過料が科される可能性があるため、計画的な手続きが不可欠です。

農業を継続する場合は相続税の納税猶予制度により税負担を大幅に軽減できますが、3年ごとの継続届出や長期的な農業継続が条件となります。農業をしない場合は、売却、転用、貸出、国庫帰属、相続放棄など、複数の選択肢から最適な方法を選択する必要があります。

農地相続の手続きは、農地法による規制や農業委員会の許可など、通常の不動産相続より複雑です。戸籍収集、登記申請書作成、遺産分割協議、農地の活用判断など、専門知識が必要な場面が多く、自力での手続きには限界があります。

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エコスタイルの評判がやばい?怪しい?太陽光や土地売買にトラブルがあるのかを調査


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太陽光発電設備と農地の売却を成功させる秘訣・市場価値の評価・税金対策のポイントを詳しく解説します。

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